「白票」は果たして誰(or 何)に対する抗議なのか

ツツジと金柑?

選挙の投票について興味深い意見があったので。
白票の意味 - 真 もわ爛漫
当選者に対する不支持の積極的な表明として、白票を投じよう。という趣旨と理解。

仮に投票結果中9割が白票であれば、投票結果がどうであれ、また、法律がそのときにどうであれ、候補者に対する国民感情は明らかに表明されており、仮にそこで当選者がマニフェストを表明したところで、その当選者の為政能力を当選当初に国民が支持していないことは国家内外から既に明らかになっている。

白票の意味 - 真 もわ爛漫

ここで思うのは、果たしてそのような事態が起きうるのか、ということ。
まず、今現在の日本の政治の一側面として、(明文化されてないにせよ)世代間の対立という要素が存在する。ネットではインタゲだリフレだーという意見が一定の支持を集める一方、現在政治に対して比較的大きな影響力を持っている世代には、インフレや国債のデフォルトに強い恐怖感が存在する、という意見がある。

第二次世界大戦終結して65年弱を経過はしていますが、戦後第一世代≒第一次ベビーブーマーは、先立つ世代から、インフレと国債デフォルトの話を色濃く受け継いでいることでしょう。リフレ政策支持者の希望に沿わず、与謝野議員に代表される財政再建を目指す主張に少なからぬ支持が集まるのは、今にしてなお思い知らされざるを得ない重い戦争の遺産なのかもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20100430/p1#p1

また、このような歴史的経緯によらずとも、今現金として資産を大量に持っている高齢世代にとっては、インフレは自己資産の実質的な減少を意味するので、彼らが現在の自己の利益を優先するならば当然インフレには反対となる。

インフレとデフレについて、ある高齢者(81歳)に聞いたところ、「あんたらはインフレで得するかもしれんが、うちら(老人)が困る、デフレがいい」
と言っていたので、こういう層が結構いるのかな、と思ったりします。

finalventの日記 コメント欄

次に、上で述べたような「財政再建,インフレ反対」世代は国政に対して比較的大きな影響力を持っているという要素。

上記サイトから引っ張ってきた年代別投票率(平成21年8月30日)、人口分布(推計。平成22年1月1日)から年代ごとの投票に占める割合を計算すると、

  • 20〜29歳 : 9.31%
  • 30〜39歳 : 15.49%
  • 40〜49歳 : 15.96%
  • 50〜59歳 : 17.84%
  • 60〜69歳 : 21.51%
  • 70歳以上 : 19.89%

となる。ざっぱに言っても、50歳未満が約4割に対し、50歳以上が約6割である。ていうか、20歳代の影響力は群を抜いて低い。

国政選挙への参加意欲が強く、「財政再建,インフレ反対」な高齢世代。日本の経済状態に無力感を感じつつ、選挙への参加意欲がそもそも低い若年世代。果たして、このような状況で「むかつく国政選挙へ白票を!」と叫んだとして、強い勢力になり得るだろうか。白票を以て政治に対するサボタージュを試みる若者を尻目に「お前さんらは信任せんかもしれんが、わしらにとっては大事なんでな」と、年寄りが余計に幅を利かせることになるのではないだろうか。