日本語の「ん」と「む」

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現代日本語の音素 /n/ (ん) は、実際の音声が n になるもの、m になるもの、ng になるものがある。例えば、「しんじゅく」はヘボン式ローマ字表記すると "shi'n'juku" になるが、「しんばし」は "shi'm'bashi" になる。標識における駅名/地名の英語表示は実際にそうなっているので確認してみて欲しい。
ところが、古語では /n/ を表す「ん」の他に /m/ を表す「む」が別に存在した。日本におけるネカマのはしりとして有名な土佐日記の冒頭、「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」の「してみ"む"とて」は、現代仮名遣い表記すれば「してみ"ん"とて」になる。
第二言語として日本語を学ぶ人のために、音声を区別する用途として旧仮名遣いの一部を復活させてみてはどうだろう。「しんばし」は「しむばし」と書くとか。

我らが柿崎大先輩もこう言っておられます。(雁屋哲由起賢二(1977)「野望の王国日本文芸社)